「窮靴」のススメ

繰り返しになりますが、一番よい靴は、かかとできっちり足が固定されていて、靴の中で足が泳がない靴です。そういう靴は、実際にはいてみると、えてしてかなりきつい印象になります。特に日本人はブカブカの靴が当たり前だと思って履いていますから、その違いにびっくりする人も多いのです。

一度ぴったりした靴を履いてみると、かかとが動かないことの快適さがはっきりとわかります。その後自分が今まで履いてきた靴を履くと「かかとが泳いで気持ち悪い」となります。

これはもう経験してこそわかることであって、口で説明してもなかなかわかってもらえません。靴は「ある程度の」きつさがないとだめなのです。その意味で「窮屈」をすすめています(「きつければいい」と言っているわけでは、もちろんありません)

 

「きつい靴はいけない」というのが世間の常識です。確かに「前後」にきついのはダメです。いわゆるつま先の「あたる」靴。これはだれにとっても耐えられないでしょう。でも、横にきついのは足にとって悪いことでもなんでもない。逆に足の健康にとてもいいのです。

よく「履きやすい靴」というのがあります。「この靴は履きやすいからこれを履いてしまう」というような靴です。でもそういう靴は、柔らかいとか足入れがいいということがほとんどで、「歩きやすい」ということではないのです。「履きやすい靴」は=「脱げやすい靴」でもあるわけです。ここを誰もがカン違いしています。かかとが泳いでいたら脱げやすいのは当たり前です。簡単に脱げてしまう靴がいいわけがないのです。

本当に「履きやすい靴」とは「歩いた時に痛みが出ない、快適な靴」であるはずです。みんなそういう靴を知らないから、サッと履ける靴が「履きやすい靴」だと思い込んでいるのです。「窮屈」はとてもサッと履けるものではありません。靴ベラを使ったりヒモを縛ったりと、一定の時間がかかります。でも一度履いたら簡単に脱げたりはしません。そして歩いた時の快適さがまるで違います。窮屈こそが、あなたを外反母趾の苦しみから救い出し、足の健康を守ってくれる最高の靴なのです。

 

 

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