睡眠時間を削ると脳のパフォーマンスが著しく低下します。どのくらい低下するかというと、6時間睡眠を14日間続けると48時間徹夜したのと同程度の認知機能になります。別の研究では、6時間睡眠を10日間続けただけで、24時間徹夜徹夜したのと同程度の認知機能になるという研究もあります。

 

これは具体的には、日本酒を1~2合飲んだ時の「酔っ払い状態」での認知機能に相当します。

 

つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている」「お酒を飲みながら仕事をしている」のと同じくらい低いパフォーマンスで、日々仕事をしているということです。

 

睡眠を削ることで、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推測能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかにされています。

 

では、具体的にどのくらいパフォーマンスが落ちるのでしょうか。

 

アメリカ・ミシガン州立大学の研究では、被験者に1日だけ徹夜をしてもらい、翌朝に注意力のテストを行ったところ、不注意によるミスが起こる確率が3倍に上がりました。

また、権威ある医学雑誌「ランセット」に掲載された研究によると、睡眠不足の医師は、十分な睡眠をとった医師に比べて業務を完了させるのに14%長くかかり、ミスする確率は20%以上も高くなりました。

 

業務時間14%延長というのは、8時間で終わる仕事が、9時間7分かかるという計算。毎日1時間ずつ、余計に仕事をしないといけません。その無駄な1時間は「睡眠」にあてるべきです。「6時間睡眠で9時間労働」するのと、「7時間睡眠で8時間労働」で帰るのと、どちらがいいでしょうか。

 

睡眠不足の人は、本来持つ自分の能力の1~2割も低い能力で、毎日仕事をしているのです。頑張っても仕事ははかどらない。ミスや失敗が多く叱られる。疲れやすい。感情が不安定。人間関係も悪化する……。

睡眠時間を少し増やしただけで、仕事や人間関係の悩みが解決するとしたら、どんなにすばらしいことでしょうか。